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デザインのプロセス:IBW美容専門学校さま

 

プロジェクトのはじまり。

2017年蝉の声が聞こえる夏の某日。副学長である山本さんに連絡をいただき、ロゴの制作のご相談をいただきました。

元々学校の「校章」はあるけど、きちんとしたマークがないので、校舎が立替になるタイミングで、ロゴマークを作りたい。それがこのプロジェクトのはじまりです。

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IBW美容専門学校の歴史。

IBW美容専門学校さんの設立は、今から約60年以上昔に遡ります。
戦後、女性が働ける仕事がまだ少なかったことを気にされ、美容学校で手に職を付け社会で活躍できる学びの場を提供されたい。その想いが設立の背景にあることをお伺いしました。

1955年に和歌山県内最初の美容専門学校として設立され、以来64年にわたり美容業界の人材育成を支えておられます。
美容師として社会に送り出した卒業生は6400人以上。すごいですよね。
和歌山だけでなく東京、大阪など全国、そして世界で活躍されています。

 

専門学校としてこれからの存在のあり方を考える。

ロゴマークをデザインする前に、ヒアリングに時間をかけるのですが、マークを作る前に、なぜ学校が存在するのか、そしてこれからもなぜ存在したいのかをお聞きしました。それらを「想いのシート」にまとめました。

想いのシートはdesignNAP独自のシートなのですが、なぜ学校(会社)が存在するのかを、5W1Hをベースにまとめたものです。今回は既に学校の理念がありましたので、それをより分解してシートにまとめました。

想いのシートはdesignNAP独自のシートなのですが、なぜ学校(会社)が存在するのかを、5W1Hをベースにまとめたものです。今回は既に学校の理念がありましたので、それをより分解してシートにまとめました。

シートの一部を紹介します。IBW美容専門学校の運営元である山本学園さんの想いを言葉にしました。なぜ教育をするのか?その答えがこちらです。

シートの一部を紹介します。IBW美容専門学校の運営元である山本学園さんの想いを言葉にしました。なぜ教育をするのか?その答えがこちらです。

まず、前提として教育をすることで人は豊かになる。教育でも色んな選択肢がある中で、ブログの冒頭に書いた背景があり、美容の教育に着目され、今に至っています。

まず、前提として教育をすることで人は豊かになる。教育でも色んな選択肢がある中で、ブログの冒頭に書いた背景があり、美容の教育に着目され、今に至っています。

ここでIBW美容専門学校さんの教育理念である「美しさは人を幸せにする」と繋がります。理念は抽象度が高いので言葉としては伝わりやすいのですが、意味としてその背景、文脈は隠れてしまっているので、その背景を分解して言葉にしました。

ここでIBW美容専門学校さんの教育理念である「美しさは人を幸せにする」と繋がります。理念は抽象度が高いので言葉としては伝わりやすいのですが、意味としてその背景、文脈は隠れてしまっているので、その背景を分解して言葉にしました。

 

身につけて欲しいのは、社会人として貢献するこころ。

副学長である山本さんは、いち早くキャリアデザインに関心を持たれ、キャリアコーディネータの資格を取得されています。

また、和歌山市内の小学生・中学生を対象とした「和歌山未来スクール」の主催・運営もされています。

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未来スクールは、和歌山の企業・学校・保護者・全ての人々が連携し、子どもたちへ「働くこと・暮らすこと」を楽しく伝えることによって、子どもたちの「学ぶ意欲・働く意欲・未来への希望」を育み、「社会を生き抜く力」を身につけるキャリア教育プログラム。
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美容専門学校の枠を超え、地域の子どもたちに学ぶ意欲・働く意欲・未来への希望を伝えたいと活動をされています。

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その背景には、学生に向けて投げられる学びの姿勢として「探究心」をとても大切にされているからなんです。

美容学校だから技術を身につける野は当然であり、それだけでなく、社会人として自主性・共同性・多様性を身につけて欲しい。そして身につけたスキルや経験を元に、社会で貢献し喜びを感じる人になってほしい。その想いをお聞きしました。

 

ロゴのプロセス。

今回は、ロゴマークが欲しいとのご依頼をいただきましたので、当初ご提案したのは、抽象度の高いマークでした。しかし、ご提案してお打ち合わせをした結果、マークは学校名をマークにされたいとご回答いただきました。今まではピンクの学校=IBWと覚えていただいていたので、マークを見て「IBW」だってわかるようにしたい。

ってことで、「IBW」をマークに再提案をしました。

ご相談いただいて、ヒアリング〜納品まで約1年間の期間を要しました。文字で「IBW」って一見すごく単純な作業に見えて、実はIBWの文字の組み合わせが難しく調整に時間を要しました。

最終の一歩手前のデザインです。

上)文字の左上が下と形状が異なります。また、横幅も違うんです。

上)文字の左上が下と形状が異なります。また、横幅も違うんです。

上と比べて文字の左上の部分が緩やかな曲線になっており、よりかわいい、やさしい印象になります。最後は、職員のみなさん、学生のみなさんの投票で、どちらがいいか選んでいただきました。

上と比べて文字の左上の部分が緩やかな曲線になっており、よりかわいい、やさしい印象になります。最後は、職員のみなさん、学生のみなさんの投票で、どちらがいいか選んでいただきました。

 

「I」「B」「W」って横幅で見たら、I : B: W=1:2:3 くらいの横幅の比率があります。日本語のひらがなカタカナと漢字の組み合わせにより見え方が複雑でデザインしにくいように、英文でお隣さんの組み合わせによっては難易度があがるのです。

マークとして一つのかたまりに見えるよう、Wの横幅を狭くする処理を心がけました。単に横幅を狭くすると、Wがたよりなく見えるので、少しアレンジしています。右側の線を細くし、未来思考・躍動感を出しました。

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弊社でデザインさせていただいたロゴの案件の中でも、一番ロゴマークの展開が多い事例となりました。なので、ご提案時にさまざまなツールにマークを合成したサンプルもご提案し、見え方をご検討いただきました。

 
完成したマークはこちら。学校らしさを意識し、ベーシックなデザインではありますが、よく見たら個性があるマークに仕上げました。

完成したマークはこちら。学校らしさを意識し、ベーシックなデザインではありますが、よく見たら個性があるマークに仕上げました。

 

では、100周年でお会いしましょう。

実はこのマークを作る際、山本さんとよくお話していた目標があります。現在64周年を迎えるIBW美容専門学校さま。設立して約60年経過し、ロゴを一新されました。弊社としては、100周年を迎える際に、このマークがまだ古びていないように、そして使い続けていただけるようなシンプルなマークに仕上げました。

ロゴマークは学校(企業)の顔になります。ちったーーーそったーーー(意味通じる?:ちょっとやそっと)でロゴは替えるものではないと、我々は思っています。だからこそ、丁寧にデザインします。

もちろん時代の変化によって、ロゴも古く見えてきます。大企業さんなんかはマイナーチェンジをしてロゴのイメージを保ちつつ、時代によりそったマークをメンテナンスされます。しかし、地方で中小企業さまが、大企業のように何度も予算をかけてロゴを維持するのは大変です。

100周年を迎える際、きっと記念式典が行われるだろうから、その時(私は81歳)なので、生きていたら呼んでいただいて「このマークはね〜」と想い出話ができたらいいな、と打ち合わせ中冗談をいってました。けど、冗談ではなくて、100周年を迎える学校を意識してますからね。このマーク。



 
sachiyo fujito